ここでは独学で一発合格するための経験記述の書き方を解説しますが、事前に以下の参考書に目を通して経験記述の文書構成を把握していることを前提で話を進めていきます。
独学で合格を目指すにしても参考書すらなしに試験の準備を行うのはハッキリ言って無謀ですので、少なくともどちらか一冊は用意することをおすすめいたします。
経験記述は全パターン準備しておく
経験記述は施工計画、工程管理、品質管理、出来形管理、安全管理、環境対策のうち、毎年2つがテーマとして出題され、その中から1つを選ぶことになるので、どのパターンが出題されても対応できるように全パターンを事前に考えておくのが望ましいです。ヤマを張って1~2つのテーマにだけ絞る、というのはオススメしません。
というのも、ヤマが外れたらその時点で不合格決定となり、全てが無駄になってしまうからです。午前の学科試験のための勉強も、午後の経験記述以外の実地試験の勉強も、せっかく時間をかけて準備していたものがヤマが外れたせいで無駄になってしまったら非常に勿体ないです。
中途半端に経験記述だけ手を抜くくらいなら最初から受験しないか、全パターンを網羅して準備万端で試験に臨むかのどちらかが良いと思います。
経験記述のネタの探し方
未経験者が経歴を詐称して受験するのでなければ自分が携わった工事の中に何かしら経験記述のネタが必ずあるはずなので、今までの業務を振り返ってみると良いです。
そのとき、頭の中だけで考えるのではなくて実際の工事の資料に目を通してみましょう。特に、協議簿(打合せ簿)は工事中に発生した問題点とその解決方法(関係者との協議結果)などが記載されているはずのでかなり役に立つと思います。
また、いずれのテーマにおいても、
- 求められる管理基準
- 工事の課題や発生した問題
- 対策としてどのようなことを実施したか?
- 結果としてどうなったか?
(「対策の結果、無事に工事が完了した。」以外はあり得ないと思いますが。)
を記述する必要があるため、管理基準が記載されている施工計画書にも目を通しておきましょう。
経験記述は丸暗記しない(一部を除く)
私が全パターンを予め準備した経験からすると、文章の構成の方法さえわかってしまえば、後は実際の工事において発生した課題とその対策をそのまま記述すれば良いだけなので、あまり難しくはないのかなと思います。
考えた文章は丸暗記しないであくまでも全体の流れを覚えておくだけにして、実地試験時にその流れを思い出しながらその場で作文するのが良いです。事前に考えた文章を一字一句丸暗記してしまうと、何かの拍子に一部分を忘れたらそのまま全部を思い出せなくなる可能性も考えられるので非常に危険です。
全体の構成を考えた後は、何度か紙に書き出して練習してみて下さい。記述欄を8~9割程度埋め、且つ、記述欄からはみ出さないような文章を書かなければならないのでその点も考慮する必要があることに注意して下さい。
例外として必ず記述しなければならない以下の項目については工事の契約書などに記載されている内容を一字一句間違えないように丸暗記するしかありませんが、漢字の間違いも減点の対象になるようなので注意が必要です。
- 工事名
- 発注者名
- 工期
- 工事場所
- 施工量(L=○○mなど)
- 施工管理上の自分の立場(監督員、現場代理人、主任技術者、など)
特に監督員の「監督」という字や、主任技術者が「主任」なのか「主人」なのか、といった点は、いざ漢字を書いてみようとすると意外とわからなかったりするので事前に漢字の練習もしておいた方が無難です。
経験記述の工事数はできるだけ少なくする
全パターンの経験記述を用意するとして、テーマごとに別工事にする必要はありません。むしろ、できるだけ同じ工事で複数テーマを考えた方が良いです。
というのも、工事数が増えれば上記の丸暗記しなければならない部分の覚える量が増えてしまうためです。
例えば、施工量には100mとか200mとか切りの良い数字だけでなく細かい数値が並ぶこともありますが、複数工事の細かい数値を覚えるために努力するくらいなら、その労力はもっと別のことに費やすべきです。
可能であれば全パターンを1つの工事で考えるのが理想ですが、多くても工事数はせいぜい2~3くらいにしておいた方が良いと思います。
経験記述の参考例をパクらない
経験記述を独学する場合に実施試験用の参考書を利用するときは、参考書に載っている経験記述の例文を丸パクリするのは止めましょう。
丸パクリしても滅多にバレないとは思いますが、たまたま同じ参考書を使って同じ文章をパクった人がいたりするとバレて不合格になってしまう可能性もあります。
参考書の例文は、あくまでも全体の構成を掴むために利用する程度に留めるようにしましょう。
経験記述は添削をしてもらう
準備した作文の技術的な内容については職場の先輩や上司にチェックしてもらうと技術的におかしな点を指摘して貰えるので良いと思います。
また、一人で黙々と作文をしていると「て・に・を・は」がおかしな文章になっていても気付けなかったりすることがありますが、「て・に・を・は」のチェック(単純に文章として意味が通じるかどうか)については土木技術者でなくてもできるので職場の同期(技術者以外の事務方など)や家族・友人などに見てもらっても良いかもしれないです。
もし、講習会や通信教育を利用するなら書き方の指導や添削などをが必ずあるはずなので、積極的に利用して質をどんどん高めていきましょう。
ちなみに、私は経験記述の作文は誰にも見せていません。一人で作文して一人でチェックした内容で合格できました。
その他の記述問題は過去問だけに頼り過ぎない
実地試験は、学科試験の選択問題とは異なり全て記述式ですが、学科試験と比較して実地試験は過去問の数が少ない(実施試験の問題数があまり多くないので過去問を集めても大した量にならない)ので過去問だけに頼っていても全範囲を網羅することはできずに痛い目を見る可能性が高いです。
そこで活用するのが「学科」の参考書です。
学科の参考書には必ず各分野ごとの出題頻度が記載されているはずなので、頻度が高い分野については各用語の意味や工法の説明などを記述できるようにしておきましょう。
学科の選択問題をスラスラ解けるようになった後でも実際に記述してみるのは結構難しいので、何度も繰り返し紙に書き出して知識を定着させることが重要です。
実施試験については、講習会や通信料育の模擬試験等を積極的に利用するのもありだと思います。